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2017年12月13日

慶應義塾大学貢献工学・減災学講座2017年度 第5回講義が開催されました


2017年12月13日(水)に慶應義塾大学理工学部矢上キャンパスにおいて本年度第5回目の「貢献工学・減災学」講座を開催し、医学博士であり脳科学の第一人者である林成之先生にご登壇いただきました。



林先生は、医療分野のみならず、日本代表水泳チームや柔道チーム、テニス、卓球、ゴルフ、陸上、サッカーなど、様々な分野の選手やコーチへ指導されており、日本人選手の競技力向上と国際大会でのメダル獲得に大きく寄与され、スポーツ界において多大なる貢献をされていらっしゃいます。


講義では、生命の誕生以来、人類が生存し続けることができた「生きたい・知りたい・仲間になりたい」という人の本能を基盤に進化し続けてきた「脳」の機能を分かりやすく説明していただきました。

このような脳の機能を活かしながら、これからの勉強や仕事に活かすためのヒントとして、まさに目から鱗が落ちる大変多くの示唆に富んだお話を聞かせていただくことができました。


講義終了後には、講義内容から所属する運動部の相談まで、様々な質疑やアドバイスを求めて多くの学生が列を作っていました。

学生の皆さんからいただいた主な感想や意見(抜粋)

・人類が生き延びられたのは、賢さを身につけたからだと思っていたが、「周りの者と仲良くしないと絶滅する。」という鉄則を知り驚かされた。人類が生存し進化するには、「考え方ではなく、考える仕組みから変える必要がある」という話もとても印象的で、教育・知的システムを高め、同期発火する脳を磨くことのできる体制を整えることが必要であると考えた。人の目を見て話すことや、否定をして自分を守らないこと、嫌いなものを好きになることは、簡単にはできないかもしれないが、今後意識して実行していきたいと思った。
また、それらを実践する事で一人ひとりがもっと幸せになると思うと、今まで知らなかった事を残念に思うとともに、今後もっと人に伝えていきたいと思った。子育てなどでもぜひ実践して、本能から頭の良い子を育てたいと思った。

・物事を好きになることがその分野での成長のスタートだと聞き、今まで知らなかったというわけではないのにも関わらず、新鮮さを感じました。現代の日本人は、何かを学んだり習得する際には、「我慢」をして取組むことが多いです。まずは、目の前の課題を良く知り、親密になること。ここに掛ける時間を増やす必要があると思います。今の日本ではこのプロセスが著しく軽視されているように感じ、逆に言えば日本人にはまだまだ発展のポテンシャルが秘められていると思うので、もっと大きなメディアや国の機関がこの情報を発信するべきだと思いました。また、林先生がなでしこジャパンに指導なさった「相手の言葉を使うトレーニング」では、日頃のコミュニケーションの上でも大変有用性の高いものだと感じました。日本の営業サラリーマンが全員この技術を身につければ、日本の経済は加速していくはずです。

・「同期発火」は、自分だけでなく、他人を動かすときにも重要な要素であることがわかった。私は部長として、部員や後輩を想うように動かすことが難しいと感じていたが、他人のパフォーマンスを上げるには、仕事を好きになり自ら進んで行うようにする工夫が必要で、仕事が遅い部員に怒るのではなく、部員を褒めることでその人のモチベーションを上げ、自ら仕事をするようにさせることが重要だったのだろう。自分がいつか、上司になった時、部下を怒り、仕事をさせるのではなく自ら仕事をするようになるようなモチベーションを上げられるようになりたい。

・まず、ゴールが見えると脳の血流が落ちて力が発揮できなくなるというお話を聞き、それが自分がやっているテニスでもポイントを決める時や勝ちが見えたときに起こっていたのだということがわかり、ミスをしてしまう原因を理解することができました。これからの練習では、最後こそ集中すべきポイントであると肝に銘じてプレーします。
また、否定することで自分を守ろうとすると気持ちがストップしてしまうというのが自分の悪い癖で、プレー中も調子が悪いと環境のせいにすることが多く、この行為が自分の成長を止めてしまうのだと気づきました。強くなるためにも弱音は一切吐かず、技術をもっと上げて、言い訳をしないプレーができたら良いと思いました。
最後に、格上に勝つという話があり、自分の本能と技で勝負するとありました。格上と試合をする時、どうしても自分のテニスができないまま終わってしまうことがよくありました。しかしそれは、格上にこの戦術は通用しないなと諦めてしまっている部分が多かったためだと思ったので、試合に臨む態度を改めていきたいと思いました。

・私は小学生から大学生まで一貫してバスケなどのチームスポーツを続けてきた。練習により技術や体力の基盤づくりは必須であるが、長年考えていた「チームとしての精神力」の重要さに改めて気づかされた。チームスポーツでは個人が傍若無人に振舞ってはならず、個々がチームを第一に考え、責任感を持たねばならない。「チームのために」という貢献心を持つことで、自分の全力が発揮できるのであると考える。これは、スポーツに限らず、人間は、恋人、家族、仲間と多くの時間や濃密な空間を過ごす事で仲間意識を高めることができ、絆を深めることで最高の力が発揮できるのだといえる。そして、自分の考え方を譲らないと上手くいかない時もあるだろうが、時には熱く語り合いお互いを認め合うことも必要であると考える。

・「脳は一つのことに絞ると力を発揮する」という話にとても勇気をもらいました。私は一度に異なることを行うことができず、一つずつこなしていかないと頭が混乱してしまいます。一度に複数のことをこなして要領よくやっている人が多いため、自分の能力の無さを感じていましたが、一つのことしかできないのは決して悪いことではなく、脳の仕組みなのだということがわかりました。とにかく、自分で一つのことを選択し、最後までやり抜くということが大事で、その過程では決してネガティブにならないことが重要なのだと学んだので、今後はそういう意識を持って物事に取組みたいです。

以 上